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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
「憶えておいてくれ。仮に国と女とどちらを取るかと言われれば、俺は迷わず薫子を選ぶ。いや、究極の選択をする前に、自らこの帝という立場を棄てる。そなたは俺にとっては、それほど大切な宝だ」
 帝は彼女の長い髪のひと房をそっと手のひらに掬い口づけた。
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