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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 二十歳の男が十六の少女に平謝りに謝る光景はどう見てもあまり体裁の良いものではなく、このやりとりがかれこれ四半刻ほど続いた後、薫子はやっと彼の謝罪を受け容れた。
 その後はまた普段どおりに戻り、いつものようにささやかな夕餉の膳に向かった。
「承平さん、家に戻ったら、ちゃんとしたお金の使い方を誰かに教わった方が良いと思うけど」
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