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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
「無粋なことを言わないで、初雪じゃないの」
「主上のご寵愛をお受けになる大切なお身体ゆえ、お風邪を引いては大変でございますのに」
 薫子はうっすらと笑みをとどめたまま、自ら立って部屋の入り口まで行った。心得た近江が御簾を器用に巻き上げる。
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