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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
 惟任はいつものように脚音も立てず猫のようなひそやかさで室内に入ってきた。一礼した顔がいつになく強ばっているのに改めて気付き、帝は小首を傾げる。
「関白さまが俄にご不例の由」
「ご不例とは、誰が?」
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