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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 入り口まで来た時、背後から力強い腕に抱きしめられた。
「薫子、俺と一緒に来てくれ」
「―承平さん」
 彼は薫子の艶やかな髪に顎を押し当てた。
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