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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
「―」
 帝は言葉を失い、通嗣を凝視した。
「橘大納言、いえ、今はもう内大臣でしたな」
 通嗣は忌々しそうに言い直し、続けた。
「大方、あやつの娘がご寝所でお優しい主上に夜毎、泣きついたのでありましょう。我が身以外の女を抱いては下さいますなと懇願されたのではありませぬか?
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