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第12章 誤解の始まり

　当時、通子よりも先に入内し帝の寵愛を受けていた藤原知加子は宣耀(せんよう)殿女御と呼ばれていた。
　その知加子は既に父帝との間に二人の皇女を儲けており、後宮でも第一の権勢を持っていた。ある時、その宣耀殿女御と藤壺女御、つまり、通子がほほ同時に懐妊した。産気づいたのもほぼ同じ、出産したのもわずか二日違いで生まれたのはそれぞれ皇子と皇女であった。