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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 翌朝、目覚めた時、既に彼はいなくなっていた。昨夜はいつもどおりに並んで横になったのだが、こうなることは覚悟していた。いや、あの時、すぐに彼が出ていくものだとばかり思っていたけれど、彼はすぐに出ていかなかった。
 本当は何度言いたかっただろうか。
―行かないで、本当は全部嘘なの。私は承平さんの側にずっといたいの。
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