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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
 薫子はただひたすら涙を流し続けた。近江が傍らで優しく言い聞かせるように言う。
「そのようにお嘆きなさいますな。姫さまが主上をそこまでご誠実な御方だとお思いあそばすなら、私もきっと今回の入内には何らかのご事情があるのだと思います。
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