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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
 噂の姫君 
 
 この部屋に戻ってくると、いつもこの景色に癒される。今、一面薄紅に染まった庭を眺めながら、薫子はそんなことを思った。この広大な屋敷にいても、市井の粗末な家にいても、自分はいつも溜息をついてばかりだ。
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