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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第13章 失望と寵愛のゆくえ
 薫子が内裏を出て身を寄せたのは近江国の石山寺であった。思えば、奇しくもあの紫式部が不朽の名作〝源氏物語〟を著したのもここ石山寺であったという。
 式部が生きていた時代から五十年近くを経た今、後世に生きる自分もまたこの御寺に流れ着いたのも何かの縁(えにし)なのかもしれない。
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