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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第13章 失望と寵愛のゆくえ
 折しも季節は弥生の半ば、庭の片隅に聳え立つ早咲きの桜が満開になっている。時折、風もないのにはらはらと淡紅色の花びらを散らすのが何ともいえず風情があった。何を隠そう、薫子はこうして時々、小窓を開けて満開の桜を愉しんでいるのだ。
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