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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第13章 失望と寵愛のゆくえ
 薫子は弾かれたように面を上げた。忘れるはずもない、薫子が入内してひと月後、帝が薫子のために作り吹いてくれた曲だ。当代一の笛の名手としても知られる帝が即興で作ったというだけあり、思わず聞き惚れてしまうような見事なものだった。
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