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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第13章 失望と寵愛のゆくえ
「承平さん」
 薫子は帝のひろげた腕に飛び込んだ。抱きしめられた瞬間、薫子の大好きな爽やかな香の匂いに包み込まれる。帝が好んで直衣に焚きしめる香だ。今宵の帝は縹色の深い色の直衣に身を包んでいる。
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