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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第14章 満月の初夜
 と、今度も静寂を破ったのは帝だった。彼は少しの逡巡を見せ、それでも意を決したようにひと息に言った。
「これは言うべきかどうかと思ったのだが」
 帝の物問いたげな黒瞳が真っすぐ薫子を射貫いている。ああ、間近で見つめられただけで、私の胸はこんなにも熱く時めく。
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