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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
 眼に一杯涙を溜めた千歳は世話をする尼君から
―帝のご寵愛も厚い尚侍さまの門出ゆえ、けして泣き顔を見せてはいけませぬ。泣くのは不吉ですからね。
 よくよく言い聞かせられたらしく、泣きそうになりながらも懸命に堪えていた。
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