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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
 薫子はハッとした。まさか、この男は私を殺すつもりでは―。狼狽して周囲を見やると、地面に打ち伏している伴の者たちの姿が視界に入った。
 武官二人は背中や腕から大量の血を流している。既に事切れているものか、微動だにしない。
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