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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
 そんな罵り声が輿の戸が閉まる寸前に聞こえた。どれだけ輿に揺られたのか。目隠しをされてしまったため、どこを進んでいるのかは判らないけれど、でこぼこの多かった道が次第に平坦なものになっていることから、都へ向かっている―少なくとも既に洛内に入っているのであろうと見当をつける。
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