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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
 恐怖が背筋をチリチリと這い上ったが、むろん、そんな様は毛筋ほども見せないようにした。屋敷内に入り廊下を歩いているのは感覚で判った。かなり歩いたと思われる頃、手を握っていた男の歩みが止まり、引き戸が耳障りな音と共に開く。
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