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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
 男が手を伸ばし、薫子の唇に触れたが、もう払いのけるだけの気力はなかった。
「どうやら、あなたは調教し甲斐のある獲物のようだ」
 男はどこか壊れたような虚ろな笑い声を上げながら去ってゆく。眼前で引き戸が閉まり、薫子は愕然とした。
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