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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
「私はあの日、頼通さまに穢されるならば、そのときは自害しようと思っていたの。だから、私が承平さん以外の男に抱かれていたということはないのよ」
「自害?」
 帝の切れ長の眼に形容しがたい光がまたたいた。薫子は彼の眼を見つめて深く頷いた。
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