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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第17章 序章 花葬(かそう)
 既に彼が来る前にその場所はこんもりと膨らんでいたから、言われずとも自ずと場所は判ったのだろう。
 栄子も無言で彼に倣い、桜の花びらを掬って愛犬の墓にかけた。しばらく二人ともに黙々と作業を続けた後、少年が手のひらについた泥を払った。
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