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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第18章 花盗人
 栄子は吐息を一つ、零す。側に控えていた蓮葉を振り返り命じた。
「御簾を上げてちょうだい」
「でも、姫さま、外は寒うございますよ。それに、今日はお殿さまが開かれた歌合わせが催されておりますから、無闇に御簾を上げて万が一、姫さまのお姿をどこぞの殿方がかいま見られでもしたら」
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