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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第19章 水蜜桃の戯れ
「姫」
 懐かしい声にいざなわれるように振り向く。月明かりを浴びたその姿はさながら月読みの精の化身かと見紛うほどに気高く凛々しい。今宵も友平は長い髪を結わずに垂らし、純白の直衣を軽く着崩していた。直衣に縫い取られているのは季節に合わせたのか朱(あけ)の蓮の花の模様だ。
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