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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第20章 紅蓮(空蝉)
 彼は何をするでもなく、ただ同じ動作を繰り返す。落ちてくる紅葉をただかざした扇で受け止めるだけ。栄子は彼に向けて一歩を踏み出した。その時。
 彼がふっと振り向いた。
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