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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 薫子は曖昧に微笑んだ。
「申し訳ございません。ですが、やはり慣れ親しんだ分、情も湧きます」
 だが、父は笑わなかった。皺が目立つようになった父の面から一切の感情が消えていた。訝しげに見つめた薫子に、父は淡々と告げた。
「だが、もう市井に立ち帰ることはできまい」
「それは、どういう意味なのですか?」
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