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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第20章 紅蓮(空蝉)
「予定では夕刻にはこちらをお暇するはずだったので、帰りが遅くなります。殿に姫さまのご不在が知られたら事が厄介になるのでは」
 言外に予定を大幅に狂わせたことを非難するような響きがあった。三郎の懸念はもっともなので、栄子は素直に謝った。
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