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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 父が喜色も露わに続けた。
「そなたは帝にお逢いしたことはあるのか?」
 薫子は烈しく首を振った。
「いいえ、私のような者がどうして九重の雲の上におわす御方、竜顔を拝する機会があるでしょう?」
 父が訝しげに眉をひそめた。
「それもそうだな、しかし、私は帝がどこかでそなたを見初めた、眼に止めたのではないかと思うたのだが」
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