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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第22章 桜花(はな)の夢
 夜の御殿に脚を踏み入れると、背後で戸が僅かに軋んで閉まった。
 はんなりとした薄紅色の几帳の向こうに、火影に照らし出された人影が映っていた。栄子はよろめくように几帳を回り、その場にひざまずいた。
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