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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第22章 桜花(はな)の夢
 降り止まぬ雪は夕刻から本格的になり、宵には御所の庭はうっすらと雪化粧で美しく彩られた。
 その夜も梅壺の廊下を通ったが、薫子を見たときは盛りだった梅はとうに散り、紅椿が雪の中で大輪の鮮やかな花をかすかに震わせていた。
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