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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 薫子は振り返った。火に掛けた竹籠からしきりに白い湯気が立ち上っている。何とも食欲をそそる良い匂いが鼻腔をくすぐった。彼女は竹籠の蓋を開き、蒸し立ての饅頭を竹皮に包み承平に渡した。
「どうぞ」
「おい、俺は今、真剣な話をしてるんだぞ」
 いきりたつ承平に、薫子は微笑んだ。
「この饅頭は、私が考えて作ったの。とにかく食べてみて」
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