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第4章 入内の勅命

「嫌みな女だな、根に持つタイプなのか？」
　それには取り合わず、薫子は笑顔で言った。
「今の暮らしを棄てたくないの。私の生きる場所は内裏なんかじゃない、ここにあると思うから。私は間違ってもお妃さまっていう柄じゃないもの。着飾って十二単を着て人形のように宮殿の奥深くに座っているなんて到底、無理ね。それよりはここでお饅頭を作って売って逞しく生き抜いていく方がよほど性に合ってる。承平さんもそう思わない？」