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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 笑顔で彼を見上げた時、わらわらと走ってくる数人の男たちを見かけた。皆、一様に屈強そうで簡略式の鎧をつけ、物々しい武装をしている。そのお揃いで誂えられた鎧が父の私兵のものであることを誰よりよく知る薫子だ。
「あ―」
 顔から血の気が引いた。刹那、傍らの承平を見た。
「承平さん、逃げて!」
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