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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 当初は頭部内で出血しているのを疑っていたらしかったが、幸運にもこの若者はそこまでの損傷を頭に受けていなかったことがはっきりと判った。
 後は若いことではあるし、日にちが回復を助けてくれるだろうということで、体力をつける薬が出ただけで、医者は帰っていった。
 しばらくは無理は禁物ということで、男は何となくそのまま薫子の家に居着くことになった。彼は名を〝承平(しようへい)〟と名乗った。
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