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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「そなたはこのようなものを日々、食しているのか?」
 承平が心底愕いているようなのに、薫子は笑った。
「私だけじゃないわ。この都に暮らす〝貴族〟と呼ばれる身分でない人は皆、似たような暮らしをしているのよ。それから、お金持ちの商人もまた別かもしれないけどね」
「そうなのか―」
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