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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
―帝がお出ましになった?
 薫子は動揺のあまり、身体中の血がひいてゆくのが判った。
「面を上げよというのが聞こえないのか?」
 どこかで聞き憶えのある声に、薫子は敏感に反応した。この声は―。
 刹那、薫子は弾かれたように面を上げた。その瞬間、彼女の視線と自分を見下ろす男の視線がぶつかった。
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