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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
「私じゃなくても、あなたの夢と理想を果たしてくれる姫君はきっと他にいるわ、主上」
 後ろは振り向かないまま言い残し、扉を開けて出ていこうとしたその時、背後から急に抱きすくめられた。
「行くな、頼むから、俺を一人にしないでくれ」
「放して」
「放さない、薫子が俺の側にいると言うまで、放さない」
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