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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 薫子は心から言った。
「今の世の中はどこでもそうだわ。帝たる天子さまがお住まいになるこの都はまだマシな方だと聞いたことがある。地方へ行けば行くほど、庶民の暮らしは酷くなる一方だって」
 承平が沈んだ口調で言った。
「それもこれも今の帝にすべて徳がないからだ」
 薫子は首を振る。
「それは違うと思うわ」
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