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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
「何を寝ぼけたことを言っているの? ここはお父上の屋敷ではなく、後宮ですよ」
「え?」
「あなたをご寵愛なさる帝がお放しになるはずもないでしょうに」
 眼をまたたかせた薫子の額に乱れ落ちた前髪を継母が優しい仕種でそっと払った。
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