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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 帝が手を伸ばし、薫子の両頬をつまんだ。フニフニと引っ張る。
「こんな顔も面白いぞ」
「良い加減にしてっ。他人の顔を玩具にして遊ばないで」
 薫子は帝の手を振り払った。
「ああ、危うく騙されるところだったわ。やっぱり、市井で見せていた顔の方が本物だったのね!」
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