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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 その刹那、突風が二人の間を駆け抜けた。嵐を思わせるような風は咲き誇る萩の枝を揺らし、その度に細やかな花びらが雪のように舞い上がる。
「何だ、この季節にいきなり」
 帝が呟き、咄嗟に薫子はその逞しい腕にすっぽりと抱き込まれた。突風から庇ってくれているのだと思うと、何となく、くすぐったい。彼の体熱に包まれ、頬がどんどん熱くなる。
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