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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第7章 胸騒ぎの予感
「さよう、主上(しゆじよう)のお住まいに矢が射かけられたこともむろん天下の大事にはございますれど、まずはその矢文に何が記されておったのか、それをお伺いせぬことには我らも対策を講じようがありませぬぞ」
 別の参議に任ぜられている公卿が口を開き、通嗣はグッと唇を引き結んだ。一同は今、帝のおわす御座所に向かって二列に並んで座している。互いが向かい合わせで、少しの間を取っているという格好だ。
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