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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第7章 胸騒ぎの予感
 栄子も二十八歳、そろそろ入内させねば、薹が立ってしまう。焦りばかりが募っていた矢先、帝はいつになく強固な態度で橘諸綱の娘を後宮に入れた。
 その後もむろん通嗣は栄子の入内を事あるごとにほのめかしていたが、帝は首を縦に振らない。このままでは、ただ一人の妃の父として諸綱の発言力が廟堂で増してくることは必定だ。
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