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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第8章 天下の大義賊
 二十歳の帝にはまだ後継者たる男児もいない。こんなときにその御身に何かあっては一大事だと思い、帝の背をさすりつつ懸命に訊ねた。
 が、帝の逞しい背中が小刻みに震えている。そんなに苦しいのかと更に不安に陥った時、違和感を感じた。これって―。
「苦しんでるんじゃなくて、笑ってるのねー」
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