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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第8章 天下の大義賊
「―止めて」
 未知の領域へと運ばれてゆきそうな自分が怖くて、薫子は思わず強い声で叫んでいた。
 その手は意外なほどあっさりと離れた。薫子の方が一瞬でも淋しいと思うほどに。
「済まぬ、悪ふざけたが過ぎた」
 その言葉に帝の顔を見上げれば、彼がまた笑いを堪えているのが判った。
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