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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 饅頭は五分の一ほど囓った跡がある。この男の様子では、何か言いがかりをつけにきたことは間違いなさそうである。
「姉ちゃん、あんたのところでは売り物に妙なものを混ぜて売ってるんだな」
 薫子は落ち着き払った態度で男に返した。
「何か妙なものが入っていましたか?」
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