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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 実際、長らく廟堂で重きをなし、朝廷の要職を独占してきた藤原氏の専横を快く思わない者は大勢いたのである。
 そこで登場したのが橘諸綱である。彼は賜姓皇族でありながら、長らく逼塞した地位に甘んじていた。藤原氏が栄華を極められたのはその外戚政治が成功したからゆえだ。現在、藤原氏には手駒として使う姫がいない。
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