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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 薫子は微笑んだ。
「もちろん、それはよく判っています。でも、私一人では智次さんに勝つことは難しかったでしょう」
 小平太が呵々と笑った。
「何の、あんたも負けちゃいなかったよ。俺は二十三年間生きてきて、干からびたヤモリを手に持っても堂々としてる女は初めて見た。並の女じゃないな、あんた」
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