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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
「何でも良いから、お礼をさせてくれませんか?」
 薫子がどうでも引かないので、小平太が苦笑した。
「あんた、見かけによらない頑固な女だねぇ」
 彼は笑うと、足許に転がっていた蒸籠を拾い、薫子に渡した。
「商売道具だろ、大切しなよ」
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