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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 一口頬張ると、残りの饅頭も後生大切そうに懐に入れる。
「ああ、美味ぇ」
 晴れ渡った都の空のような笑顔を見せて去っていった。別れ際、初めて小平太の左眼の下に小さな泣きぼくろがあるのに気付いた。なかなかの男前だが、その泣きぼくろが愛嬌を添えている。
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